導入事例 三菱電機 福山製作所 生産システム推進部 加工技術課様
試作部門の工程管理が”本当に”見える化できました!
配線用遮断器(いわゆるブレーカー)の分野で国内トップシェアを誇る三菱電機 福山製作所(広島県)の試作部門では、「試作工期30%短縮」を目標に、DIRECTOR6を導入した。同製作所の小林孝浩 班長(写真中央右)、大野徹 試作係長(写真中央左)、馬場利靖(写真右) 加工技術課長に、製品選定の経緯や導入効果についてくわしく聞いた。
(※ 写真左は、シムトップス サポートグループ グループマネージャ 島崎雄太)
三菱電機 福山製作所
試作係長大野 徹 氏
三菱電機 福山製作所
班長小林 孝浩 氏
三菱電機 福山製作所
加工技術課長馬場 利靖 氏
三菱電気 福山製作所について
三菱電機 福山製作所および、皆様が属する生産システム推進部 加工技術課(以下 試作部門)について教えてください。
国内トップシェア
三菱電機 福山製作所では、主に配電制御機器など「電気を管理する機器」を開発、製造しています。特に配線用遮断器(いわゆるブレーカー)の分野では、国内トップシェアです。
最近は省エネ支援機器に力を入れております。福山製作所自体も、平成20年にはエネルギー管理優良工場として資源エネルギー庁長官賞に選ばれました。
私たちが属する試作部門では、開発部門や設計部門などからのオーダーに基づき、新機種や改良部品の「試作品」を製作しています。
試作部門における工程管理スケジューラとしてDIRECTOR6を活用
福山製作所 試作部門ではDIRECTOR6 をどのように活用していますか。
DIRECTOR6は、試作部門における工程管理スケジューラとして活用しています。 活用概況は次のとおりです。
- 導入時期
- 2008年12月
- 稼働時期
- 2009年4月【備考】仕様設計、カスタマイズ、教育、試験運用など立ち上げに約3ヶ月
- 用途
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- ・試作工程設計
- ・スケジュール管理
- ・人/設備の負荷管理
- ・日報、週報の自動生成
- 導入目的
- 試作工期30%短縮
【備考】福山製作所全体で、「開発・生産革新(山電モノ作り革新)活動」を展開中です。 (2008年4月~2010年3月) その取り組み項目の一つ「製品開発工期の30%短縮」に貢献するべく、試作部門でも「試作工期30%短縮」を目指します。並行して「試作の過程で分かったことを設計開発部門にフィードバックする」という、試作部門本来の役割も強化していきます。
試作品に対応しているスケジューラはDIRECTOR6だけだった。
DIRECTOR6 のことはどこで知りましたか。
DIRECTOR6は、設計製造ソリューション展で知りました。展示されていた製品の中で、試作品づくりに本当に対応していたスケジューラはDIRECTOR6だけでした。詳しく説明を聞いたところ、柔軟なカスタマイズも可能で、サポートの「体制」もあると分かりました。念のため、他製品も調査しましたが、試作品づくりに本当に対応していたのは、やはりDIRECTOR6だけだったので、これを採用しました。
「本当の見える化」、「ウソの見える化」、「不十分な見える化」
DIRECTOR6の導入効果をお聞かせください。
本稼働してまだ1カ月ですが、「本当の見える化ができた!」という実感があります。
「本当の見える化」とは、具体的には?
話を分かり易くするために、「ではウソの見える化とは何?」という話から始めます。イメージでいえば「見せかけだけのガントチャート」など良い例です。パッと見は、表やグラフで「見えている」。でもそれは「実情」を反映していない、そういう状態です。
「不十分な見える化」というのもあります。あるオーダーひとつの進捗状況は分かる、見える。でも、「人ごと」、「設備ごと」で串刺しして、負荷状況を見ることができない、そういう状態です。この場合、人ごと、設備ごとの負荷・余裕状況がわからないので、急な飛び込み依頼があった時に、即対応できません。
一方、DIRECTOR6では、作業ごとの進捗の入力はバーコードで行うので、「作業の実態」がシステムに反映されます。「人ごと」、「設備ごと」の負荷状況も分かります。どんな角度からも見ることができるのです。
(馬場課長):DIRECTOR6の導入により、「計画を立てる班長の頭の中」も見える化できました。試作品づくりでは、毎回つくる物がちがうので、毎回、工程計画を立てねばなりません。また、開発部門からの急なとびこみ依頼、優先度変更、仕様変更は、日常茶飯事です。この途中変更があたりまえの環境で、それでも納期を守るべく、生産計画を柔軟に変更し、人と設備を上手に割り振りする。それが班長の役目です。これまで班長は本当によくがんばってくれました。
しかし、それでも私は班長に求めつづけました。「おまえの頭の中を外に出せ。みんなに見えるようにしろ」と。班長の属人的な管理技術は尊重しつつも、その管理技術を班員全員で共有できるようにし、全員で納期短縮の工夫をしあえる環境を作りたい、そうして班長の管理技術を次世代に継承したいと考えたのです。今回のDIRECTOR6の導入により、試作計画が画面上で誰でも見られるようになりました。「班長の頭の中の見える化」が大きく前進しました。
「納期の“根拠ある即答”」、「工程間滞留の削減」、「外作の取り込み」
「本当の見える化」以外にはどんな導入効果がありましたか。
いくつかあります。第一に、「納期の“根拠ある即答”」が可能になりました。先ほども述べたとおり、試作部門には急な飛び込み依頼が、たびたび来ます。かつてはカンと経験だけで「たぶんできます」、「何とかやってみます」と答えることも、正直ありました。しかし、DIRECTOR6の導入により、人と設備の負荷状況がリアルタイムで分かるようになり、事態はカイゼンされました。今は、他部門からの依頼に対し、できる時は「○月○日○時までに、できます」と、できない時は、「今、こういう状況なので、○○にはできる予定です」と、理由を添えて即答できます。納期回答の精度と速度が大きくカイゼンされました。
その他、DIRECTOR6の導入により、次の8効果が実現しつつあります。
- 効果1.「前詰め計画による分単位の最適な工程設計と、工程間滞留の削減」
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急な飛びこみ依頼に対応するには、人と設備の負荷状況をなるべく前詰めにして、後ろの予定を空けておくことが重要です。
- 効果2.「バーコード使用による工数入力時間の低減」
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作業の進捗入力に時間と手間がかかるようでは、かえって納期と品質に悪影響が生じます。DIRECTOR6では、バーコードにより、「始めます」、「終わりました」を入力するしくみです。進捗入力は簡単かつ誤入力もありません。
- 効果3.「日報作成時間の低減(=実作業時間の増大)」
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進捗データを正確に入力できることの派生効果として、作業日報および週報の自動生成ができるようになりました。ということは、今まで日報づくりに使っていた時間が、実際の製作時間に回せます。これは、「進捗入力をまじめにやれば、日報を書かなくて済む」というしくみでもあります。作業担当者の進捗入力のモチベーションになります。
- 効果4.「部品単位の進捗管理による調整業務時間の低減」
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複数の部品で構成される組み立て試作品の場合、部品単位の工程管理が必要です。DIRECTOR6では、それが可能です。
- 効果5.「作業順序検討時間の低減」
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急な飛び込み、予定変更が当たり前の試作部門においては、作業指示計画の変更も日常的に発生します。DIRECTOR6により、変更作業が短時間に行えるようになりました。
- 効果6.「リピート品見積り不要による見積り時間の低減」
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「前に作った物とよく似た物」の試作依頼があった場合は、以前に作った物の工程計画データを、ひながたにして、微細変更箇所だけ書き換えて、新しい計画データを作るのが効率的です。DIRECTOR6では、その作業が簡単にできます。
- 効果7.工作機械の夜間無人運転の延長
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かつては人の稼働状況は分かっても、機械設備の状況は正確把握できていませんでした。今は、DIRECTOR6により、人と機械の両方の状況が分かるようになりました。その情報を基に、機械の有人運転は昼間に、無人運転は夜間に、を指向した指示が簡単に出せるようになりました。
- 効果8.外作の取り込みによるコスト削減
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ここまで述べた「時間のムダとり効果」が実現すれば、そこで浮いた時間を製作に使えます。今まで外注に依頼していた作業を、内部で行えるようになり、コスト削減が可能になります。
試作工期を短縮するには「人の育成」、「良い設備の導入」、「人と設備を有効活用するための『情報の流れ』の改善」の三要素が必要です。今回のDIRECTOR6の導入により、「情報流の改善」は、相当の所まで進歩したと考えます。
シムトップス社員と、現場作業担当者の、「人の力」
今回、工程管理スケジューラの導入が成功した要因は何だったと考えますか。
どんな優れたシステムも、そこに魂を吹き込むのは"人"です。今回は、シムトップスのみなさんのサポートとカスタマイズにおける支援、そして試作部門全員の団結という両面から、システムに命が宿りました。
シムトップスの導入支援体制は、「教育4回、講習8回」というよく練られた構成でした。絶妙な構成だったと思います。全12回を終えると、部門全員がシステムを理解し、使えるようになりました。
またカスタマイズ対応の柔軟さに驚きました。今回、DIRECTOR6を選んだのは「帳票やインターフェイスのカスタマイズに柔軟に対応してくれるから」ということも大きな理由でした。そして、弊社担当の島崎さん(冒頭写真左)や伊藤さんには、その謳い文句通りの、真剣・誠実な支援をいただきました。
どの会社も「柔軟に対応します」、「カスタマイズもOKです」と謳ってはいます。しかし、よくよく聞けば、一つ帳票をいじるたびに「追加費用●十万円」という話です。一方、シムトップスでは、「カスタマイズ歓迎。細かな要望、大歓迎。」それは製品のカイゼンにつながるから」という方針とのことであり、実際、どんな要望にも、時には仕様決定後の追加変更になりかねない要望までも、対応していただけました。
また現場全員の団結も、ある意味、最も重要な成功要因です。みなシステム導入の意義を良く理解し、まじめに学び、人ごとではなく「わがごと」として、システムへの進捗入力を真剣に実行してくれました。
DIRECTOR6は優れた製品です。しかし、どんな良い製品も使われずホコリをかぶったのでは意味がありません。シムトップスさんが「使えるよう」支援してくださり、現場全員が「真剣に使った」こと。この二つの「人の力」こそ、今回の工程管理スケジューラ導入が成功した、最大の要因であると考えます。
工程管理スケジューラの導入を成功させるためのポイント
今回の経験を通じて分かった「工程管理スケジューラの導入を成功させるためのポイント」などあれば、お聞かせください。
まず、システム導入で作業担当者の負担が増えないよう工夫することが重要です。自分たち独自の帳票類とDIRECTOR6をどう関連付けるかを事前に充分検討するべきです。さらに進捗実績の入力においても現場の意見を可能なかぎり取り入れていき、DIRECTOR6は、自分たちが良くしていくソフトなのだと、みなが共通に認識できるようになれば、きっと上手くいきます。
今後の期待
シムトップスへの今後の期待をお聞かせください。
今回、シムトップスのみなさんの協力により、すばらしい工程管理システムを導入することができました。福山製作所 試作部門では、今後も、DIRECTOR6を使いこなしながら、「品質向上」、「工期短縮」、「技術技能継承」、「他部門へのフィードバック」など、さまざまな課題に取り組んでいく所存です。その過程で、シムトップスさんには、「こんな機能があったらいい」、「ここをこうすればもっと良くなる」などの要望を今後も出させていただきます。DIRECTOR6は、今の優れた製品力に、さらに磨きをかけてください。そして、私たちと共に進歩を続けていきましょう。今後ともよろしくお願いします。
シムトップス代表 水野より返礼のご挨拶
三菱電機 福山製作所 試作部門の皆様には、DIRECTOR6をご愛用いただき、誠にありがとうございます。特に弊社のサポート体制、カスタマイズ体制にもご評価をいただき、たいへん嬉しく思っております。
シムトップスは、DIRECTOR6のカスタマイズ歓迎、仕様変更歓迎のソフトウェア会社です。そうしてお客様の現場のナマの要望を取り入れれば、DIRECTOR6を、よりカイゼンでき、本当に現場で使える、効果の出る製品ができるからです。
その要望を取りまとめて、さらに進化させた次期バージョンをご提供し、そのバージョンにさらにフィードバックをいただくことで、さらに製品が良くなる。この善循環を回し続けたいと考えています。
2006年から2008年の3年間に、お客様の要望を元にして、DIRECTOR6は、2269箇所のカイゼンを実行することができました。今年も来年も、さらに多くのカイゼンを加えたいと考えています。これからもご意見、ご要望は、どしどしお寄せください。
参考情報:福山製作所試作部門では、DIRECTOR6をどう使っているのか
― 三菱電機 福山製作所、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
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