導入事例 土井精工株式会社様
目まぐるしい環境変化が続く中、
勝ち残るためにDIRECTOR6を導入しました。
金型製造会社、土井精工の、専務取締役 土井謙治氏、相談役(前工場長)佐伯 衛氏、
生産管理部 次長 鎮目(しずめ) 将人氏、同部主任 金城(かなしろ) 敬介氏に、
DIRECTOR6を導入した経緯と理由について詳しく聞きました。
(※ 文中は、主に土井専務のお話で構成しています)
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DIRECTOR6によるノウハウ
継承プロジェクトを主導土井専務
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鎮目氏の下で
工程管理を専任担当金城主任
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生産管理部
次長鎮目氏
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専務が生まれた年に
入社したというベテラン。
現在は定年退職し、相談役に佐伯氏
土井精工について
超硬粉末冶金成形金型の設計・製作が主体の金型製造会社。
創業昭和22年、65年の歴史を持つ。社員24名、本社 東京都品川区、工場 山梨県笛吹市。
超硬粉末冶金成形金型について
超硬粉末冶金成形金型(以下 超硬金型)には「硬い」「脆い」等の特徴がある。まず「硬い」だが、ダイヤモンドの硬度を100として、超硬金型の硬度は90前後。ちなみに鉄の硬度は50程度。超硬材料を加工するにはダイヤモンド製の工具や放電加工など特殊な加工が必須となる。次に「脆い」だが、粘性、靭性が低い、イコール「脆い」であり、注意深く作業を行わなければ容易に欠けてしまう。そのため、超硬金型は、金型の中でも、特に繊細で特殊な技術が必要になる分野となる。
超硬金型の製造工程、納期
工程数は普通の金型で170工程、やや複雑な金型で270工程程度。製造数は年間数百組。納期は平均で30日程度となる。近年は短納期、特急案件が増える傾向にある。
DIRECTOR6で全ての金型の製作工程を管理
土井精工ではDIRECTOR6をどう活用していますか。
土井精工では、工場内で作るすべての製品の工程管理をDIRECTOR6とカラーボックスで行っています。
かつては、「金型製作では『システムによる工程管理のIT化』は実現が難しいのでは」と思っていました。しかし、真剣に取り組んだ結果、実現できました。
工場内の各セクションには、必ずDIRECTOR6の端末と、カラーボックスを入れる棚がある。
(※ カラーボックスは部品毎に色分け)
標準的な作業手順は次のとおり
DIRECTOR6活用の目的
今回、土井精工が、DIRECTOR6により工程管理をIT化したことの目的、意義は何ですか。
DIRECTOR6導入の目的を、キーワードで述べると、次のようになります。
- ・「熟練技術者からの技術・ノウハウの継承」
- ・「見える化による工場全体の進捗状況の把握」
- ・「納期遵守。根拠ある回答」
- ・「部分最適から全体最適へ」
- ・「生産性向上による設備投資の十分な活用」
- ・「お客様の満足度向上」
熟練技術者からの技術・ノウハウの継承
DIRECTOR6には、工程管理ツールだけでなく、管理者養成ツール(ノウハウ継承ツール)としての役割もあります。DIRECTOR6を使って日々の工程管理を実行することが、ノウハウ継承につながるのです。
2011年2月に、熟練技術者であり前工場長でもあった佐伯さんが定年退職しました。現在は相談役として後進の指導にあたってもらっていますが、熟練者からの技術、知識、ノウハウの継承は、重要な経営課題です。
※ 現在は、土井専務が専務と工場長を兼任。
佐伯さんが入社したのは昭和46年。実は、私、土井が生まれた年です。当時の金型づくりでは、営業、設計、組み立てまで一人が全部をこなすのが当然でした。その時代を経験した佐伯さんの頭の中には、超硬金型づくりのノウハウ、管理技術も含めて土井精工のすべてが豊富に蓄積されています。
この 「一人が全部を担当する」やり方は昭和50年代から下火になり、かわりに「各工程を複数人で分担する」、分業化・専業化が主流になりました。分業化には、大量生産が可能というメリットがある一方、「自分の工程なら熟知しているが隣の工程のことが見えづらくなる」という「専業化の副作用」も生じてきました。
工程管理責任者である鎮目次長や金城主任を始め、社員の多くは分業化後の技術者であり、自身の担当分野ではノウハウを有しているものの、工程全体、工場全体の管理についての総合的な知識、ノウハウが不十分でした。
しかし、生産管理部の鎮目次長と金城主任には工程全体を俯瞰的に把握する力が必要です。特注品、特急品が飛び込んできた時も、冷静に工程を組み替えられなければいけません。
しかし土井精工の歴史とも言える経験、知識、ノウハウは、短期間で容易に引き継げるものではありません。この困難な課題を解決するための手段の一つとして導入したのがDIRECTOR6です。現在は、従業員全体でDIRECTOR6をフル活用しています。鎮目次長は、各部門の進捗をDIRECTOR6を通じて確認し、納期遅れの気配があるときは、その原因となっている作業部門へ足を運び、問題を解決します。こうした日々の活動が、そのまま工場全体のことを学び取る研修になるのです。
DIRECTOR6の導入前には、まず佐伯さんの頭の中にある経験と知識、ノウハウを徹底的に洗い出し、各製品の製造工程のひな形をDIRECTOR6へ「パターンマスタ」として登録しました。現在、ほとんどの製品は、そのマスタをアレンジするだけで、工程計画ができるようになりました。
ということは、ノウハウの継承はひとまず完了したのでしょうか。
いえ、まだ半分も完了していません。例えば、今の鎮目次長は「既存製品」の工程ならばほぼ完璧に管理できます。しかし「規定外の製品」「複雑な製品」などが特急納期で入ってきた場合は、まだまだ指導が必要な状況です。
その時はどうするのですか。
予想外のことについては、佐伯さんに相談して共に問題を解決し、それをノウハウとして定式化し、DIRECTOR6へ反映します。この繰り返しで継承が少しずつ進んでいくわけです。まだまだ時間はかかるでしょうが、未来への道筋はもうハッキリと見えています。
DIRECTOR6をノウハウ継承のツールに使うというアイディアはどうやって思いついたのですか。
このアイディアは、かつて私自身が、ISOの書類づくりを通じて工場業務を把握した時の経験から思いつきました。
私は14年前に急遽、父の後を継ぐことが決まり、土井精工に入社しましたが、その時は金型のことも工場業務のことも何も分かっていませんでした。ちょうどその頃、得意先がISOの導入を開始しており、土井精工でもそれに協力するために、各種書類をつくる必要がありました。私は、この仕事を自ら買って出ました。結果として、人、設備、業務手順を全て棚卸ししながら書類上に言語化していく作業は、工場全体の業務を総合把握する上で、非常に有用でした。この時の経験から、DIRECTOR6を使って工程を言語化する作業は、ノウハウ継承に有用だろうと考えたのです。
DIRECTOR6は、自分の持ち場に注力していた現場作業者が、工場全体のことを把握するためには最高のツールだと思います。極端に言えば、たとえ新入社員であっても、DIRECTOR6を使って工程管理の担当になれば、「全体把握」においてベテラン社員を凌駕することも可能でしょう。
「見える化」による工場全体の進捗状況の把握
かつては、各製品の進捗状況を正確に把握することが困難で、1週間先の事は見えていても、1ヶ月先の事となると作業者には見通せない状態でした。この状態は、DIRECTOR6の活用により、大幅に改善されました。
工程計画の作成・現場への作業指示
進捗管理
滞留品
納期遵守。根拠ある回答
DIRECTOR6導入前は、特急品や設計変更が多い事もあり、お客様から納期問合せがあっても、出荷間近の案件しか明確な納期回答ができませんでした。
しかし今は、機械や人の負荷管理、進捗管理の精度が上がり、納期回答もより正確なものになりました。もちろん特急や設変、トラブルで工程が滞ることもありますが、その場合でも「この日に納品できます」と根拠ある回答を行う事が出来る様になりました。
お客様への接し方は「不言実行ではなく、有言実行」でなければなりません。良い製品を造るだけではなく、ビジネスには「確かな根拠」が必須になったのです。DIRECTOR6はその「確かな根拠」を示してくれるツールです。
部分最適から全体最適へ
全体の中の自分の位置を知って、段取良く工程を進められるように
ここは鎮目次長に説明してもらいましょう。
(鎮目氏):現場作業員に「進捗状況」が正確に伝わっていない場合、現場では、自分たちの仕事を効率よく進めるために「部分最適」を優先することがあります。
「部分最適」というのは、「やりやすいものから手をつける」「似たような部品を10個まとめて作業し、全部終わるまで次工程に回さない」といった仕事の進め方です。
しかし管理上は、納期が迫っている2個をまず完了させ、残りは納期に余裕があれば、別の納期が近い作業に取り掛かるべきです。
作業者の意識を「部分最適」から「全体最適」へ向けるにはどうするか。私は「皆、熱意とやる気は十分にあるのだから、正確な情報を伝えていけば、自然にそうしてくれる」と思っています。情報は「目に見えるようにする」ことが大事で、見える化するツールであるDIRECTOR6と、カラーボックスによる工程管理は、非常に良いと思います。
生産性向上による設備投資の十分な活用
土井精工では、2008年頃に、大がかりな設備投資を行いましたが、当初は期待したほど生産成果が上がりませんでした。今では理由が分かります。設備をただ増強しても、それを効率よく使いこなす「管理」がなければいけなかったのです。
DIRECTOR6の導入にあたり、「5分以上の時間を要する作業は『工程』とみなす」という定義のもと、自社の製造工程を徹底的に分解、棚卸ししました。すると「ここで数分、部品の熱を冷ます」などのちょっとした作業が、生産性向上の上で実は重要だったなどの事実が分かってきます。そうして、各工程の位置づけと価値の理解が深まるにつれ、設備投資も生きてくるのです。
今や国内だけでなく海外の企業も競合として意識しなければいけません。土井精工としては、個々の技術者のノウハウが、成果として結実するよう、工程管理を徹底するべきだと考えています。
工程管理システムに求めた要件
土井精工では、工程管理システムをどのように選定しましたか。
2006年に、工程管理のシステム化を実施すると決め、その後、候補製品の選定を開始。最終的には、ある金型専門の工程管理ソフト(製品A)とDIRECTOR6とが候補になりました。比較検討の際の要件は次のとおりです。
- ・機械と人の組み合わせを原単位にした、きめ細かい管理ができること
- ・複雑な金型の工程をシステムに具現化できること
- ・常に「最新の進捗情報」が分かること
- ・見やすい、使いやすいこと
- ・継続的な保守、サポートの信頼性があること
DIRECTOR6は土井精工が求める要件を全て満たしていました。そして何より「日本の中小企業を元気にする」という、シムトップスの水野社長の情熱ある言葉が最後の決め手でした。
DIRECTOR6の導入には、はじめ社内の抵抗も
導入に際し、社内の抵抗はありましたか。
やはり、若干の抵抗感はありました。社員に対しては、「気持ちは分かる。だがそれでも工程管理システムを導入することで顧客満足が上がって、会社が良くなれば、みんなも幸せになれるんだ」ということを丁寧に説明して、理解を求めました。そうして、社内の理解を得て、DIRECTOR6を2009年に導入し、先ほど述べたような効果を得ることができた次第です。
参考情報:土井専務が社員への説明会の時に使ったパワーポイント
シムトップスの導入前サポートに高い評価
シムトップスへの評価をお聞かせください。
シムトップスのみなさんは、びっくりするほど真面目でした。「検討します」と返答があったときは、社交辞令でなく、本当に真剣に検討してきます。土井精工の問題を、自分の問題として真剣に解決しようとします。そういう信頼できる相手だから、我々も正直に問題点をさらけ出すことができました。導入前の一ヶ月のコンサルティング期間は、工程管理の担当者にとっても、非常に有用な時間でした。
真剣な取組みが必要
これから工程管理のIT化を実施しようと考えている中小製造業に向けて、「先輩ユーザーとしてのアドバイス」があればお聞かせください。
アドバイスというほどではありませんが、私見として。 DIRECTOR6は「これさえ入れれば全ての問題が解決する魔法のシステム」ではありません。現場と経営陣の真剣な取組みが必要です。その真剣さがあれば、DIRECTOR6は単なる「管理システム」ではなく、「頼れる社員」のような存在になります。
また、土井精工がそうしたように、ノウハウ継承のツールとしての活用もできます。その用途で使う場合、ノウハウの継承には時間を要することを考慮して、工程管理には専任担当者を設定するのが望ましいでしょう。日々の工程管理とノウハウ継承が一度にできることを考えれば、非常に有効です。
今後の要望、これからの期待
DIRECTOR6への今後の要望を教えてください。
経営者の私からの要望は、DIRECTOR6に「やりがいを反映させること」「人事考課に使えるようにすること」です。指示を守り、作業を納期通りに完了した担当者には、十分な評価が与えられ、やりがいを感じられるようにしたい。誠実な作業者が正当に評価される、そんなシステムに発展してくれることを希望します。
(佐伯氏):ノウハウ継承という観点からは、今はまだ道半ばです。もう少しで「基本」が継承できる、今がいちばん大事な時期なのです。基本さえ分かれば、後戻りが少なくなるのです。逆に基本がないと、また同じ所に戻ってしまいます。そういうことが防げるよう、一歩一歩、「積み上げられる」システムであることを希望します。また専務の言うとおり、「日々の作業にもやりがいを感じられる」システムに成長してほしいものです。
シムトップスへの今後の期待をお聞かせください。
今回、DIRECTOR6を導入したことで、土井精工の工程管理の見える化は大きく前進し、納期遵守などの点で顧客満足を大きく改善することができました。シムトップスには、今後も素晴らしいサポートと製品を継続提供していただき、目まぐるしく環境が変化していく中、土井精工が勝ち残っていくための取り組みを支援していただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。
― 土井精工様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
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