本シリーズでは、生産スケジューラや工程管理に関する基礎知識から、実際の課題、導入効果、業種別の成功事例までを解説しています。
ここでは、記事内で登場した主要な用語を用語集として整理しました。
基本用語の確認や意味の再確認にご活用ください。
目 次
- ▼ 用語集(主要キーワード解説)
- ・隘路 → クリティカルパス
- ・アクティビティ(activities/ Scheduling Activity / Operation)
- ・ROI(Return on Investment)
- ・ERP(Enterprise Resource Planning)
- ・ES(Earliest Start/ Earliest Start Date / Earliest Start Time) → 最早開始日時
- ・EF(Earliest Finish) → 最早終了日時
- ・SIT(System Integration Test)
- ・SS(Start to Finish)
- ・SLA(Service Level Agreement)
- ・FS(Finish to Start)
- ・MES(Manufacturing Execution System)
- ・LS(Latest Start) → 最遅開始日時
- ・LF(Latest Finish / Latest Finish Date / Latest Finish Time) → 最遅終了日時
- ・カットオーバー(Cut Over)
- ・ガントチャート(Gantt chart)
- ・クリティカルパス(critical path)
- ・クリティカルパス法(critical path method) → クリティカルパス
- ・工程管理(Process Control / Process Management)
- ・個別受注生産(Individual Order Production)
- ・最早開始日時(Earliest Start/ Earliest Start Date / Earliest Start Time)
- ・最早終了日時(Earliest Finish)
- ・最遅開始日時(Latest Start)
- ・最遅終了日時(Latest Finish / Latest Finish Date / Latest Finish Time)
- ・SAN
- ・CPM(critical path method) → クリティカルパス
- ・仕掛品(Work in Process)
- ・時間計算 → PERT計算
- ・受注組立生産(Assemble To Order (ATO) / Build To Order (BTO))
- ・受注生産(Make To Order (MTO))
- ・受注設計生産(Design To Order / Engineer To Order (ETO))
- ・受注即納生産(Finish To Order (FTO) / Built To Order / Assemble To Order)
- ・ジョブ(Job)
- ・進捗管理(Task management / Progress management / Expediting)
- ・スケジューラ(Scheduler)
- ・スケジューリング・アクティビティ → アクティビティ
- ・生産管理(Production management)
- ・生産スケジューラ(Production Scheduler / Advanced Planning and Scheduling (APS))
- ・製造実行システム → MES
- ・タスク(Task)
- ・多品種少量生産(High-mix low-volume production)
- ・WBS(Work Breakdown Structure)
- ・段取り時間(Setup Time)
- ・TOC理論(Theory Of Constraints)
- ・TCO(Total Cost of Ownership)
- ・ネットワーク・コンストレイント(Network / Network constraints)
- ・納期遵守率(Due Date Performance / On-Time Delivery (OTD))
- ・ハイパーケア(Hyper Care)
- ・PERT(Program Evaluation and Review Technique)
- ・PERT計算
- ・PERT図(PERT chart)
- ・PAN
- ・BOP(Bill of Process)
- ・負荷平準化(Load Leveling / Smoothing / Scheduling)
- ・フロート(float / slack)
- ・プロジェクト管理(project management)
- ・BOM(Bill of Materials)
- ・無限負荷スケジューリング(Infinite Capacity Scheduling)
- ・山崩し → 有限負荷スケジューリング
- ・山積み → 無限負荷スケジューリング
- ・有限負荷スケジューリング(Finite Capacity Scheduling (FCS) / Scheduling / Load Leveling)
- ・余裕時間 → フロート
- ・UAT(User Acceptance Test)
- ・リードタイム(Lead Time(LT))
- ・ルーティング(Routing / Network Constraint)
- ・RACI(レイシー)
用語集(主要キーワード解説)
ここでは、シリーズ全13記事で登場した、工程管理や生産スケジューラに関連する専門用語を体系的に整理しました。
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隘路
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アクティビティ(activities/ Scheduling Activity / Operation)
生産スケジューラが計画計算を行うための最小の作業単位のこと。日本の製造現場や工程管理システム上では、一般に「作業工程」と呼ばれることが多い。
各アクティビティは、必要となるリソース(機械、設備、作業者など)の情報や、リソースを占有する時間(工数、リードタイム)といった属性を「作業の箱」として持っている。生産スケジューラは、このアクティビティ単位でリソースの空きを探索し、時間軸上に割り付け(ディスパッチング)を行っていく。また、BOP(製造プロセス情報)は、このアクティビティを先行・後続の依存関係(ネットワーク)で繋ぐことによって構成される。
※補足:一般のビジネス領域では「タスク」や「ジョブ」と同義で使われることもあるが、工程管理の厳密な定義においては、スケジューリングの基本単位を「アクティビティ」、さらに細分化された手順(作業明細や間接作業など)を「タスク」として明確に区別する。 -
ROI(Return on Investment)
投資利益率。導入効果(納期遵守率向上、在庫削減、残業削減など)を投資額で割って算出する。一般的に1〜3年で回収されることが多い。
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ERP(Enterprise Resource Planning)
企業の持つ資金、人材、設備、資材といった経営資源を統合的に管理し、販売・購買・生産・在庫・会計などの業務効率化を図るための「統合基幹業務システム」のこと。
製造現場のシステムアーキテクチャ(3層モデル)においては、中長期の経営資源計画を担う最上位の「計画層」に位置づけられる。 ERP単体では、現場の複雑なリソース制約を分・秒単位で考慮した詳細なスケジュールを立案することはできない。そのため、ERPから受注情報や部品表(BOM)、在庫情報などを「生産スケジューラ」や「MES(製造実行システム)」に供給し、スケジューラ側で実行可能な詳細計画を自動立案するというシステム連携の構成をとるのが一般的である。 -
ES(Earliest Start/ Earliest Start Date / Earliest Start Time)
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EF(Earliest Finish)
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SIT(System Integration Test)
システム統合テスト。スケジューラとERPやMES、在庫管理システムなど周辺システムとのデータ連携を確認するための工程。導入時に必須の品質保証ステップ。
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SS(Start to Start)
ネットワーク制約での先行工程が開始すれば、後続工程も開始できる制約
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SLA(Service Level Agreement)
サービスレベル合意。システム稼働後における応答時間や障害対応など、提供されるサービスの品質を明確に数値化した契約。システムの安定稼働と信頼性を担保する基盤となる。
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FS(Finish to Start)
ネットワーク制約での先行工程が終了しないと、後続工程が開始できない制約
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MES(Manufacturing Execution System)
製造現場における作業手順の指示、品質の管理、実績の収集などを担うシステム。現場の「人・設備・モノ」の動きをリアルタイムに把握・制御し、生産活動を最適化することを最大の目的としている。 企業システム全体の中では、経営や生産計画を担う「ERP(計画層)」と、機械設備を動かす「PLCなどの制御システム(制御層)」の間をつなぐ「実行層」として位置づけられる。 英語の直訳である「製造実行システム」という名称が広く知られているが、日本の製造現場の実態に照らし合わせると、「製造管理システム」や「工程管理システム」と表現した方がその役割を正確に表している。
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LS(Latest Start)
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LF(Latest Finish / Latest Finish Date / Latest Finish Time)
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カットオーバー(Cut Over)
旧システムから新システムへ切り替える瞬間を指す用語。切替はリスクが高いため、計画的な手順と判断基準を事前に定義することが重要。スケジューラ導入ではハイパーケアとセットで考えられる。
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ガントチャート(Gantt chart)
縦軸にオーダーや工程、作業内容を記載し、横軸に日時(期間、カレンダー)をとってバーグラフ(棒グラフ)で表示する図表のこと。第一次世界大戦後にヘンリー・L・ガント氏によって考案された。 ガントチャートを見れば、どのような仕事があり、それぞれがいつ開始し、いつ終了するのか、どこまで進んでいるのかといった予定と実績を一目で確認できるのが特徴である。
PERT図(ネットワーク図)が「アクティビティ(作業)の相互依存性の提示」や「クリティカルパスの決定」など、複雑なプロジェクトを計画する際に威力を発揮するのに対し、ガントチャートは時間軸に沿った直感的な表示により、プロジェクト進行中の「進捗ステータスの監視」や「担当者へのスケジュール共有」など、実行段階での管理に適している。
本来は作業工程(プロセス)の相互依存関係を示し、生産スケジュールを視覚化する手法であるが、多くの製造業ではその意義や理論が理解されず、Excelを使用して見た目のみを模した単なる線表(ロジックなき絵)となっているのが現状である。こうしたExcelによる線表は、部門や現場単位での縦割りの管理に陥りやすく、情報の共有化や一元管理の大きな阻害原因となっている。 現在では、PERT計算の論理(ネットワークと工数による時間計算)をベースにしつつ、PC画面上のガントチャートでインタラクティブにスケジュールを可視化・最適化できるシステムが一般的になっている。 -
クリティカルパス(critical path)
プロジェクトの全工程の中で、開始から完了まで最も時間がかかる最長の作業経路のこと。この経路上にあるアクティビティ(作業)の遅延は、そのままプロジェクト全体の納期遅延に直結するため、工程管理において最も重点的に管理すべき「命の綱」となる。 クリティカルパス上のアクティビティは「余裕時間(フロート)」がゼロであり、ここでの1日の遅れがプロジェクト全体の1日の遅れとなる。「前の作業が完了しないと次が始められない」という依存関係(ネットワーク制約)を辿った中で、最も時間がかかるルートである。 クリティカルパスを特定し、ボトルネックを回避して効率的なスケジュール管理を実現する手法を「クリティカルパス法(CPM)」と呼ぶ。全体の工期(リードタイム)を短縮するためには、この経路上にある作業を短縮する必要がある。
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クリティカルパス法(critical path method)
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工程管理(Process Control / Process Management)
製造現場において、納期を確実に守りつつ生産目標を効率的に達成するために行う管理活動の総称。作業手順や工数を決める「工程計画」と、リソース(人・設備)を割り当てて進捗を管理する「生産統制」から成る。生産スケジューラはこれを高度化し、複雑な制約条件を考慮した実行可能な最適計画を自動で立案・提示する役割を担う。
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個別受注生産(Individual Order Production)
製品の受注後に個別の仕様に合わせて設計から生産までを行う形態であり、あらかじめ完成品や部品の在庫がほとんど無いのが特徴である。工程管理においては、注文ごとの「製番(製造番号)」で進捗や原価を管理する製番管理が用いられる。 日本の製造現場において一般に「個別受注生産」と呼ばれる生産方式は、厳密にはその性質によって「受注設計生産(ETO)」「受注組立生産(ATO)」「受注即納生産(FTO)」などに細かく分類される。
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最早開始日時(Earliest Start/ Earliest Start Date / Earliest Start Time)
PERT図の各アクティビティに作業時間(工数)を設定して計算(PERT計算または時間計算)された日程。
最も早く作業を開始できる日時。 -
最早終了日時(Earliest Finish)
PERT図の各アクティビティに作業時間(工数)を設定して計算(PERT計算または時間計算)された日程。
最も早く作業をできる日時。 -
最遅開始日時(Latest Start)
PERT図の各アクティビティに作業時間(工数)を設定して計算(PERT計算または時間計算)された日程。
納期に間に合わせるために、最も遅く開始しなければならない日時。 -
最遅終了日時(Latest Finish / Latest Finish Date / Latest Finish Time)
PERT図の各アクティビティに作業時間(工数)を設定して計算(PERT計算または時間計算)された日程。
納期に間に合わせるために、最も遅く終了しなければならない日時。 -
SAN
ネットワーク制約での後続工程
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CPM(critical path method)
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仕掛品(Work in Process)
生産途中の未完成品を指す。仕掛品が多いと工場スペースを圧迫し、在庫コストや管理負担が増える。スケジューラは工程の流れを滑らかにし、仕掛品を適正化することでコスト削減と現場効率化を実現する。
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時間計算
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受注組立生産(Assemble To Order (ATO) / Build To Order (BTO))
あらかじめ共通の部品やモジュール(中間組立品)を見込みで生産し在庫として保持しておき、顧客からの注文(受注)を受けてから、それらを組み合わせて最終製品を完成させる生産方式のこと。 顧客の多様なニーズ(オプション選択など)に柔軟に応えつつ、受注設計生産(ETO)に比べて納入リードタイムを大幅に短縮できるのが特徴である。パソコンのカスタマイズ生産(BTO)などがこれに該当する。
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受注生産(Make To Order (MTO))
顧客からの注文(受注)を受けてから、製品の生産を開始する方式。あらかじめ設計された基本仕様に沿って製造するのが主流であり、見込み生産のように完成品の不良在庫を抱えるリスクが無いのが特徴である。 ※補足:一般に「受注生産(MTO)」は材料を事前に用意して標準的な工程で製造する形態を指すが、広義には、受注後に個別設計を行う「個別受注生産(ETO)」や、部品を在庫して受注後に組み立てる「受注組立生産(ATO)」なども含まれる。
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受注設計生産(Design To Order / Engineer To Order (ETO))
顧客からの注文(受注)を受けてから、個別の仕様に合わせて開発・設計を行い、生産を開始する方式のこと。製造現場では「個別受注生産」とほぼ同義で用いられることが多い。 受注ごとに製品仕様が異なるため、事前に部品表(BOM)や工程計画(BOP)を準備することができない。そのため、受注後に設計を進めながら、部品手配や製造プロセスを「さみだれ式」に決定・追加していく必要があり、生産計画の立案や工程管理の難易度が非常に高いのが特徴である。
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受注即納生産(Finish To Order (FTO) / Built To Order / Assemble To Order)
受注生産型と見込生産型を組み合わせた方式であり、「受注即応生産」と呼ばれることもある。あらかじめ見込み生産として受注前に生産を開始しておくが、ある段階で生産を保留(仕掛品としてストック)しておき、顧客からの注文(受注)が確定した後に最終工程(仕上げや表面処理、梱包など)を行って納品する。 完成品の在庫を持たないため、過剰在庫のリスクを低く抑えつつ、納入リードタイムを極めて短くできる。製品のバラエティ(仕様の違い)が生産工程の最終段階において決まるような製品に有効である。
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ジョブ(Job)
人に割り当てられた作業の集合や、遂行すべき仕事(職務)の単位のこと。生産管理やスケジューリングの文脈においては、機械や設備で処理される個々の作業のまとまりを指すことが多く、待ちジョブの中から次に加工するものを決定・指示する「ディスパッチング」などで用いられる用語である。また、同種の機械設備を機能別にまとめて配置し、加工経路が製品ごとに異なるような生産形態を「ジョブショップ」と呼ぶ。
※補足:ITや一般ビジネスの領域では「タスク」や「アクティビティ」と同義で使われることもあるが、英語圏の製造業において「ジョブ」は「オーダー(受注や製造手配の単位)」を意味することが多い。そのため、工程管理システムや生産スケジューラにおける厳密な定義では、計画の基本単位を「アクティビティ(作業工程)」と呼び、混同を避けるために「ジョブ」という呼称は用いないのが一般的である。 -
進捗管理(Task management / Progress management / Expediting)
作業計画と実際の実績のズレを把握し、計画通りに製造が進むように調整・統制する業務のこと。実際の現場(大手メーカー等)では、「進行さん」や「ボースン(船頭)」と呼ばれる担当者がこの役割を担うことが多い。彼らは図面と計画表を抱えて現場を回り、現物と進捗を確認して計画表の更新を行っている。しかし、Excelなどの表計算ソフトで作られた線表や、ホワイトボードへの手書きによるアナログな管理では、情報がリアルタイムではなく、仕様変更や突発トラブルが発生するたびに担当者が工場中を駆けずり回って再計画を行わなければならないという課題を抱えている現場も少なくない。
進捗管理の重要な目的は、製造現場の刻々と変化する状況を常に把握し、「見える化」することで、タイムリーなフォローアップを可能にする仕組みを構築することである。これにより、作業の遅れへの対応や対策だけでなく、設計変更や仕様変更、補正・補修といった突発的に発生する「飛び込み案件」にも迅速に対応できる。
製造現場を「見える化」するためには、進捗管理板や生産管理板といった仕組みのほか、稼働状況を表示するアンドン(電光表示板)などがある。これらを効果的に運用するには、基準となる「計画」の存在と、進捗状況のタイムリーな反映が欠かせない。 -
スケジューラ(Scheduler)
スケジューリング(scheduling)を行うための仕組みのこと。 複数の処理すべき事項を優先度に従い制御・管理するための仕組みであると言える。使用する場面により指すものが異なるが、ITの分野では、マルチタスクやマルチプロセッシングにおいてジョブに最適な優先度を割り振り制御する仕組み(ジョブ管理システム)を指すことが多く、これを特に「タスクスケジューラ」と呼ぶこともある。また、個人の予定を管理するスケジュール帳のアプリケーションソフトウェアをスケジューラと言うことも多い。
一方で、製造現場などの業務において「いくつかやらなければならない仕事(作業)があるときに、どのような順番で進めれば最も効率的か・都合が良いかという最適な順序を求める問題」を解くシステムとしても用いられ、生産計画に用いるものは特に「生産スケジューラ」と呼ばれることが多い。
「生産スケジューラ」は、対象とする業種や業務によって、主に以下のような種類・呼称で分類される。
ジョブショップスケジューラ 同種の機能や性能をもつ機械設備をグルーピングして配置した「ジョブショップ(機能別配置)」を対象とする。機能や単一作業の管理はしやすい反面、製品ごとに製造経路が異なりリードタイムも変動するため、単純な投入順だけでは生産計画が立案できない。一般的なライン生産(特定の製品工程が連続し、投入数で計画が可能)とは異なり、この複雑な経路と順序の管理を行う。
ディスクリート系スケジューラ 形のあるさまざまな部品を組み合わせて製品を製造する「ディスクリート系(自動車や電子機器など)」を対象とする。作業途中の半製品を工場内の空きスペースに一時置きできるため、多品種少量生産や混流といった製造手法が可能である。製品が各ショップ(設備、作業班)を移動していくため、投入順が生産リードタイムに大きく影響を及ぼす。
プロセス系スケジューラ 流体・ガス・粉体など形が一定ではない材料を扱い、反応や合成工程で製品を製造する企業(化学、石油、鉄鋼など)を対象とする。タンクとパイプラインでの移動が主であり、半製品の一時置きができないため、工程間の制約難易度が非常に高い。以前はプロセス系に強い国産スケジューラも存在したが、現在は工場建設時に品目に最適化されており、混流や多品種生産を行わない(スケジューラが不要である)という理由から、プロセス系に特化した製品はほぼ存在しない。 -
スケジューリング・アクティビティ
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生産管理(Production management)
販売計画の立案から原材料の仕入れ、実際の製造、出荷、販売に至るまで、製品に関わる生産プロセスすべてを統括・管理する業務のこと。 「工程管理」よりも管理の範囲が広く、生産管理の機能の中に工程管理が内包される関係にある。工程管理が、製造現場の労働力・設備・原料などを手配して「作業の順番(工程)」をコントロールし、納期内に生産目標を達成することを重視するのに対し、生産管理は企業全体の生産活動を円滑に進めるためのより広範な役割を担う。
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生産スケジューラ(Production Scheduler / Advanced Planning and Scheduling (APS))
製造現場における作業の順序やリソース(人・設備・モノなど)の割り当てを最適化し、効率的かつ実行可能な日程計画(スケジュール)高度な計画エンジン」として機能し、確実な納期遵守や製造リードタイム短縮に直結する。
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製造実行システム
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タスク(Task)
ITや一般的なビジネスの領域においては、「実行すべき作業」や「課題」といった意味合いで「アクティビティ」や「ジョブ」と同義に使われることが多い用語である。
しかし、工程管理や生産スケジューラの厳密な定義においては、これらとは明確に区別される。スケジューリングの最小計算単位(リソースを割り当てる対象)である「アクティビティ(作業工程)」よりもさらに一段階細かい、タスクレベルの詳細な手順や明細作業のことを「タスク」と呼ぶ。
実際の工程管理システムでは、タスクレベルの詳細な情報は事前のスケジュール計画の対象とはしないのが一般的である。その代わり、製造現場での「実績入力」の際に、アクティビティの枠内で具体的にどのような作業(タスク)を行ったかを詳細に記録するための「作業明細」として活用されることが多い。
※補足例:「検査(アクティビティ)」という一つの作業工程に対し、それに付随する「外観の目視確認」「寸法の測定」「チェックシートへの記入」といった個別の手順がタスク(作業明細)にあたる。 -
多品種少量生産(High-mix low-volume production)
消費者の多様なニーズに合わせて、多数の品種の製品をそれぞれ小ロット(少量)ずつ生産する方式のこと。柔軟性が高い一方で、品種が切り替わるたびに機械の設定変更や治具の交換といった「段取り替え」が頻発するため、少品種多量生産(大量生産)に比べて稼働率や生産効率が低下しやすく、工程管理も複雑になる。
生産スケジューラは、似た仕様の作業を連続させて段取りロスを防ぐ「まとめスケジューリング」や、リソースの負荷平準化を自動立案することで、この多品種少量生産における効率低下の課題を解消する強力な武器となる。
※補足:近年では、品種の多さだけでなく、突発的な注文や生産量・納期の急激な変動が常態化した現場を指して、さらに難易度の高い「変種変量生産」と呼んで区別することもある。 -
WBS(Work Breakdown Structure)
作業分解構成図。プロジェクトの成果物や必要な作業を階層的(ツリー構造)に要素分解し、プロジェクト全体を管理可能な「アクティビティ(作業)」単位に細分化する手法。これをもとに各作業の順序、担当者、工数などを定義することで、精度の高いスケジュール立案や進捗管理が可能となる。生産スケジューラ導入の計画策定や、補助金申請における事業計画の可視化などにも活用される。
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段取り時間(Setup Time)
製造ラインで製品や部品を切り替える際に発生する準備作業時間のこと。厳密には、機械を停止しないと行えない「内段取り」と、機械の稼働中に事前準備ができる「外段取り」に大別される。
これが頻発すると設備の稼働率や生産効率を大きく下げる要因となる。そのため生産スケジューラは、似た仕様の作業を連続して割り付ける「まとめスケジューリング」などの機能により、段取り替えの順序最適化と回数削減を自動で行い、この時間を大幅に削減することを可能にする。 -
TOC理論(Theory Of Constraints)
イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラット氏が提唱した「制約条件の理論」のこと。トヨタ生産方式をはじめ、日本の製造現場で経験則的に行われていた管理方式を分析・体系化したマネジメント手法である。
元々は製造業のスケジュール最適化ソフト(OPT)の開発から始まったが、1984年に出版された小説『ザ・ゴール』を通じて、単なるスケジューリング手法から「ボトルネック(制約条件)に改善活動を集中させることで、システム全体のパフォーマンスを向上させる(全体最適)」というビジネスの汎代理論へと発展した。その後もクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント(CCPM)などの新しい概念が生み出されている。
※補足:『ザ・ゴール』出版当時、日本の製造業の国際競争力は非常に高かった。ゴールドラット氏は「部分最適が得意な日本人がこの全体最適の手法を学べば、貿易摩擦が再燃し世界経済が混乱する」と危惧し、2001年まで同書の日本語への翻訳を許可しなかったという有名な逸話がある。 -
TCO(Total Cost of Ownership)
システムの総保有コスト。初期費用だけでなく、運用・保守・教育・拡張なども含む。スケジューラの比較・選定時にはROIとセットで評価される。
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ネットワーク・コンストレイント(Network / Network constraints)
工程計画(BOP)において、アクティビティ(作業工程)間の前後順序や依存関係を規定する制約条件のこと。日本語では「ネットワーク制約」と呼ばれたり、単に「ネットワーク」や「コンストレイント」と表現されたりすることもある。
PERT図やパートチャートにおいては、アクティビティ同士を繋ぐ「矢印」として視覚的に表現される。単純な直線の作業手順だけでなく、部品を跨いだ作業の分岐や合流といった複雑なプロセスフローを正確に定義するために不可欠な要素である。
代表的な依存関係の制約として、以下の4種類が存在する。
FS(Finish to Start): 先行工程が終了しないと、後続工程が開始できない(最も一般的な制約)。
SS(Start to Start): 先行工程が開始すれば、後続工程も開始できる。
FF(Finish to Finish): 先行工程が終了すれば、後続工程も終了できる。
SF(Start to Finish): 先行工程が開始すれば、後続工程が終了できる。
生産スケジューラは、これらのネットワーク・コンストレイントと各アクティビティの工数をもとに時間計算(PERT計算)を行い、余裕時間(フロート)やクリティカルパスの特定、および実行可能な日程計画の自動立案を行う。 -
納期遵守率(Due Date Performance / On-Time Delivery (OTD))
顧客が指定した納期(約束した期日)に対して、実際に納品が間に合った割合を示す指標。製造現場において最も重視されるKPI(重要業績評価指標)のひとつであり、この数値の改善は顧客満足度や信頼性の向上に直結する。 従来の固定的な計画や現場任せの管理では低下しやすいが、生産スケジューラを導入し、各リソース(人・設備)の負荷や制約を考慮した「実行可能な日程計画」を立案・統制することで、飛躍的に数値を改善することが可能である。
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ハイパーケア(Hyper Care)
新システム稼働直後に設ける集中的サポート期間。現場の問い合わせや改善要望に即時対応し、安定稼働への軟着陸を図る。ユーザーの不安解消に直結する重要なフェーズ。
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PERT(Program Evaluation and Review Technique)
プロジェクトマネジメントや工程管理において、スケジュールの計画と統制を行うために用いられる手法。プロジェクト完遂までに必要な「アクティビティ(作業)」を洗い出し、それぞれの相互関係(先行・後続)を明確にすることで、プロジェクトの最短達成を目指す。1958年に米国のポラリスミサイル開発で適用され、日本では1965年頃から大規模プロジェクトの管理手法として普及した。
PERT図(ネットワーク図)に各作業の工数(期間)を記述し、現実の時間軸に当てはめて開始・終了日時を算出することを「PERT計算(時間計算)」と呼ぶ。これにより、納期と開始可能日から各アクティビティの「最早開始日(ES)」や「最遅終了日(LF)」が導き出され、遅延が許されない「クリティカルパス」や、余裕時間である「フロート」を特定することができる。
導入当初はホストコンピュータとプロッターによる紙の出力であったが、現在はPC上でインタラクティブに計算・描画できるようになった。それに伴い、古典的なアロー型やイベント型のネットワーク図ではなく、長さを持たない矩形でアクティビティ同士を繋いだ「パートチャート」を作成し、それをもとに時間軸を持つ「ガントチャート」上でPERT計算をリアルタイムに行い、進捗や負荷を見える化する手法が現代の主流となっている。
※補足:計画上の作業単位は「アクティビティ」と呼ぶのが正確である。一般に「タスク」と混同されがちだが、工程管理システム等においては、タスクをより細分化された明細作業や間接作業として区別することが多い。 -
PERT計算
PERT図の各アクティビティに作業時間(工数)を設定して計算(PERT計算または時間計算)を行うことで、現実の時間軸に沿った以下のような重要な日程を導き出す。
最早開始日時(ES)/最早終了日時(EF): 最も早く作業を開始・終了できる日時。
最遅開始日時(LS)/最遅終了日時(LF): 納期に間に合わせるために、最も遅く開始・終了しなければならない日時。
これらの計算結果を比較することで、納期に影響を与えずに遅らせることができる余裕時間(フロート)や、プロジェクト全体の工期を決定づける遅延の許されない最長経路(クリティカルパス)を特定することができる。 -
PERT図(PERT chart)
プロジェクトを構成するアクティビティ(作業)をボックスや丸(ノード)で表し、それぞれの依存関係(作業の前後順序)を矢印で結んだネットワーク図のこと。ガントチャートのように時間を表す横軸を持たない代わりに、アクティビティ間の繋がりや制約関係を視覚的に把握することに優れている。主にプロジェクト開始前の「計画段階」において、作業の順序を整理し、全体のタイムラインやクリティカルパスを導き出すために利用される。
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PAN
ネットワーク制約での先行工程
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BOP(Bill of Process)
製品を製造するためのプロセス情報(作業手順、製造条件、使用設備、品質管理項目など)を定義したもので、一般的に製造業で用いられるBOM(部品表:Bill of Materials)の一形態。
通常のBOMは、部品の構成や数量をストラクチャー型(階層型)で表現するが、BOMをベースとした従来のPDMやPLM製品では、部品間のプロセスの依存関係(分岐や合流など)を表現できないという課題があった。これに対しBOPは、プロセスフローとして実際の製造に必要な作業手順やネットワーク制約を柔軟に表現できる。特に、受注ごとに作業工程が変動する個別受注生産においては、精度の高い工程計画や日程計画を立案するための基盤として必須となる。
BOPを導入して製造プロセス全体を俯瞰・連携させることで、部門間の情報分断を解消し、コンカレント開発や継続的なカイゼン活動を促進できる。大規模なPLMシステムの再構築を前提とせずとも、工程管理システムやMESにおいて「まずは作業手順をBOPとして表現し、見える化する」ことからスモールスタートで取り組むことが可能である。 -
負荷平準化(Load Leveling / Smoothing / Scheduling)
生産工程ごとの作業量(負荷)を均等化し、設備や人員の負担の偏りを無くす考え方のこと。 負荷が一部のリソースに偏在すると、特定の工程でボトルネックが発生し、結果としてプロジェクト全体の納期遅延や残業時間の増加につながる。生産スケジューラは、製造プロセス全体を俯瞰して負荷の「山積み」と「山崩し」を自動で行い、負荷をならすことで効率的かつ無理の無いライン運営を可能にする。
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フロート(float / slack)
プロジェクト管理やPERT計算において、特定のアクティビティ(作業)の着手や完了が遅れても、後続の作業やプロジェクト全体の納期に影響を与えない猶予時間のこと。「ゆとり時間」とも呼ばれる。
各アクティビティの「最遅開始日時(LS)」と「最早開始日時(ES)」の差分として算出される。フロートを持つアクティビティは、その期間内であれば作業が遅れても全体のスケジュールを遅延させることはない。一方で、このフロートがゼロ(余裕が無い状態)のアクティビティを繋いだ最長経路を「クリティカルパス」と呼び、ここでの遅れはプロジェクト全体の納期遅延に直結する。
厳密には、遅延の許容範囲によって以下の2種類に分類される。
トータルフロート(総余裕時間): プロジェクト全体の納期(最終完了日)に影響を与えずに、その作業を遅らせることができる最大時間。工程管理の現場において、一般的にフロートと呼ぶ場合はこちらを指す。
フリーフロート(自由余裕時間): 直後に続く後続アクティビティの「最早開始日時」に影響を与えずに、その作業を遅らせることができる時間。 -
プロジェクト管理(project management)
正確には「プロジェクトマネジメント」と呼ばれる、プロジェクトを成功に導くための総合的な管理手法のこと。スケジュール、人員、資金、物的資源などの管理を含む。 プロジェクトの目標を明確にし、それを達成するための手段を設定したうえで、計画通りに進むように「アクティビティ(作業)」やスケジュールをコントロールし、プロジェクトを完遂させることを目的とする。このマネジメントにおいては、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)というPDCAサイクルが常に稼働している必要がある。
【歴史的背景と世界標準】 現在のようなプロジェクトマネジメントの概念が確立したのは、冷戦期のアメリカ国防総省だと言われている。ソ連に有人ロケットの打ち上げで先を越されたことに危機感を覚え、軍事プロジェクトをスピードアップさせるためにプロセスを体系化・整理したのが始まりである。 1958年のポラリスミサイル開発プロジェクトに際して「PERT(Program Evaluation and Review Technique)」が開発され、同時期にデュポン社でも「クリティカルパス法(CPM)」が開発された。 現在は、米国の非営利団体PMI(Project Management Institute)が策定した『PMBOK(Project Management Body of Knowledge:プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)』が世界標準として広く受け入れられており、最新の研究結果や実務をもとに数年ごとに改定され続けている。 -
BOM(Bill of Materials)
製品を製造するために必要なすべての部品や原材料、数量をストラクチャー型(階層型)で一覧化した「部品表」のこと。MRP(資材所要量計画)や資材手配の根幹となる情報である。 用途によって、設計部門が仕様を定義する「E-BOM(設計部品表)」と、製造部門が組み立て順序などを加味して作成する「M-BOM(製造部品表)」などに大別される。
BOMは「何がいくつ必要か」を示すには適しているが、作業工程間の依存関係(分岐や合流)までは表現できない。そのため、生産スケジューラで実行可能な日程計画を立案するには、BOMに具体的な作業手順やリソースの制約を加えた「BOP(プロセスフロー)」を定義する必要がある。 -
無限負荷スケジューリング(Infinite Capacity Scheduling)
設備や人員といったリソースの能力や数に上限が無い(無限に利用できる)と仮定して、各アクティビティ(作業工程)の工数を単純に時間軸へ積み上げていく計画方式のこと。「無限山積み」とも呼ばれる。 前後関係(ネットワーク制約)のみを頼りに各アクティビティのリードタイムを計算し、理論上最短でいつ完了できるかを把握するのに適しており、一般的にPERT計算(時間分析)はこの無限山積みとして機能する。 一方で、リソースの競合(同じ時間に1台の機械に複数の作業が重なるなど)を考慮しないため、特定の工程に作業が集中して過負荷(オーバーロード)状態になりやすい。そのままでは現場で実行できない「理想論」の計画になりがちであり、実用的な作業指示とするためには、リソースの上限を加味して負荷を平準化する(山崩しを行う)「有限負荷スケジューリング」による調整が必要となる。
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山崩し
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山積み
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有限負荷スケジューリング(Finite Capacity Scheduling (FCS) / Scheduling / Load Leveling)
実際のリソース制約(設備の能力や人員の稼働時間、治工具の有無など)を上限として考慮し、日程計画を立てる方式のこと。「有限能力スケジューリング」とも呼ばれる。リソースを無限と仮定する理想論の計画(無限山積み)ではなく、現場の現実に即したスケジュールを生成できるため、実行可能性が非常に高い。特急品(緊急オーダー)の飛び込みや設計変更といった突発的な事象が発生した際にも、現在の負荷状況を加味して柔軟に再計算(リスケジュール)を行うことができる。
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余裕時間
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UAT(User Acceptance Test)
ユーザー受け入れテスト。現場のユーザーが実際に操作して、要件や使いやすさを満たしているか確認する工程。現場が納得することで定着が進み、システムが使われ続ける前提が整う。
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リードタイム(Lead Time(LT))
発注や着手から、納品や完了までにかかる総時間のこと。工程管理の現場においては、対象となる範囲に応じて「受注リードタイム」「調達リードタイム」「製造(生産)リードタイム」などに細分化されて用いられる。
実態としては、実際の加工といった「実作業時間」よりも、工程間の運搬や「停滞時間(待ち時間)」が占める割合が非常に大きい。そのため、生産スケジューラを活用して工程間の停滞ロスを無くし、クリティカルパス上のリードタイムを短縮していくことが、在庫削減やキャッシュフローの改善、ひいては需要変動に強い柔軟な経営体制の構築に直結する。 -
ルーティング(Routing / Network Constraint)
製品がどのような工程を経て完成するかを定義した情報のこと。日本の製造現場では一般に「工順(こうじゅん)」「作業順序」「追番」とも呼ばれる。 単純な作業の並び順だけでなく、先行工程と後続工程の依存関係(ネットワーク制約)や、作業の分岐・合流といった複雑なプロセスフローを示す。生産スケジューラが実行可能な日程計画を立案するための「工程計画(BOP)」を構成する重要な基盤となる。
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RACI(レイシー)
役割分担のフレームワーク。Responsible(実行)、Accountable(責任)、Consulted(助言)、Informed(報告)で構成され、プロジェクト体制を明確化する。導入プロジェクトのスムーズな進行に有効。
まとめ
工程管理や生産スケジューラに関する用語は、似た意味で使われるものや、現場によって捉え方が異なるものも少なくありません。
本用語集を活用し、用語の意味や関係性を整理することで、記事の理解を深めるとともに、社内での認識や説明のずれを防ぐことにもつながります。
基礎知識の確認や、導入検討時の共通言語づくりにお役立てください。
参考文献
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加藤 昭吉『計画の科学 ― どこでも使えるPERT・CPM』(ブルーバックス)新書
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手島 歩三『「気配り生産」システム ― ポストJIT/MRPの新生産戦略』
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中嶋秀隆『PM プロジェクト・マネジメント』
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佐藤知一『革新的生産スケジューリング入門』
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西岡靖之『APS 先進的スケジューリングで生産の全体最適を目指せ!』
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芝尾芳昭『プロジェクトマネジメント革新』
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藤本隆宏『ものづくり経営学』
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中野一夫/西岡靖之『生き残るための生産管理マネジメント PRACTICAL PRODUCTION CONTROL ~A Survival Guide for Planners and Schedulers』
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佐藤知一/山崎誠『図解でわかる生産の実務 BOM/部品表入門』
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藤本隆宏『日本のもの造り哲学』
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成沢俊子 with John Snook『英語でkaizen!トヨタ生産方式 第2版』
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赤池弘次・伊理正夫・茨木俊秀・腰塚武志・小島政和・福島雅夫・森戸晋・逆瀬川浩孝・木村英紀・深谷賢治・鈴木敦夫・藤原祥裕・田村明久・久保幹雄・松井知己『シリーズ:最適化モデリング1 モデリング ― 広い視野を求めて ―』
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山下浩・蒲地政文・畔上秀幸・斉藤努・枇々木規雄・滝根哲哉・金森敬文『シリーズ:最適化モデリング5 モデリングの諸相 ― ORと数理科学の交叉点 ―』
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池上敦子『シリーズ:最適化モデリング3 ナース・スケジューリング ― 問題把握とモデリング ―』
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西岡靖之『スマートシンキングで進める工場変革 つながる製造業の現場改善とITカイゼン』
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岩永二郎・石原響太・西村直街・田中一街『Pythonではじめる数理最適化』
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仁科健『統計的工程管理』
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前田和哉『図解即戦力 PMBOK第7版の知識と手法がこれ1冊でしっかりわかる教科書』
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中根甚一郎『統合化MRPシステム』
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三河進『図解DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門』
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サニー・ベーカー+キム・ベーカー+G.マイケル・キャンベル『世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント』(訳者 中嶋秀隆+香月秀文)
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エリヤフ・ゴールドラット『ザ・ゴール』(翻訳 三本木 亮)
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エリヤフ・ゴールドラット『クリティカルチェーン』(翻訳 三本木 亮)
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第6回
生産スケジューラで解決できる課題
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