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  • 業務改善
  • 2024.12.17

自働化とは?自動化との違いやメリットを解説

トヨタ生産方式で重視される「ニンベンのついた自働化」とは、設備に異常が発生した場合、または発生しそうな場合に、設備を止める、または自動的に停止させることで、不良の発生を防止し、かつ改善を促す仕組みを指します。これは、異常を検知した場合には作業を停止し、問題解決を促し、不良発生の根本原因を追究し、根本的な改善を行う機能を設備や作業者に備えさせるものです。

自働化により、各工程で品質を作り込むことが可能となり、効率的かつ高品質な生産が実現されます。

本記事では、自働化と自動化の違い、導入するメリットなどについて詳しく解説します。

自働化とは?

まずは、自働化の概要や、自動化との違いについて解説します。

自働化の概要

自働化(じどうか)とは、設備やシステムが異常を自律的に検知し、対策をとる機能を設備と作業者に与えることを意味します。トヨタ生産方式では、「ニンベンのついた自働化」として、作業者と設備の動きを分け、よりムダのない働き方を目指す考え方です。機械が加工している間に、作業者はより付加価値の高い別の仕事に従事できます。

自働化の主な目的は、不良品の発生を防止することです。たとえば、生産ラインで異常が発生した際には、設備がただちに停止し、不良品が後工程に流れるのを防ぎます。設備の停止時には、作業者は「呼び出しボタン」や「ひも」を引いて異常を知らせ、アンドン(電光掲示板)やブザーによって管理者に状況を伝えます。この仕組みにより、異常が発生した際にすぐに対処し、根本的な問題を解決してから作業を再開します。その結果真因と呼ばれる問題を解決し、作業の改善や品質向上に貢献します。

さらに、自働化の導入によって、設備の監視にかかる時間や労力を削減し、作業者はより付加価値の高い業務に専念できるようになります。その結果、作業者の労働力削減だけでなく、安定した高品質の製品供給が可能となります。

「自働化」と「自動化」の違い

自動化と自働化は、いずれも作業の効率化を目指していますが、方向性や目的が異なります。

自動化

自動化は、人間の作業そのものを設備やソフトウェアが担う仕組みで、タスクを自動で実行し、ルーチン業務を効率化します。

例としては、ロボットアームによる組み立て作業や、RPAなどを用いたデータ処理の自動化が挙げられます。

自働化

自働化では、設備がするべき作業と人が判断する作業を分けて考え、設備の多台持ちなど、設備と作業者の協調を目指します。

設備が特定の単純で反復的な作業を担当し、人間は高度な判断や問題解決に従事します。この協力により、最適な生産力と品質を実現します。

自働化された工程は、問題発生時には自動的に停止、もしくは設備を止めて、異常を検知して作業者の介入を促します。そこで「5回のなぜ」と呼ばれるように、根本的な原因を究明、解決するまで、「なぜ」を繰り返すことで、問題解決を行い、これにより、異常や品質の低下を早期に発見し、迅速かつ効果的に対処することが可能となります。

さらに、自働化は人材育成の観点においても重要です。自動化された生産ラインの運用や管理においても作業者が最適な判断とスキルを身に着けるように、「動き」を、質の向上や効率の最適化を追求する「働き」に変えることがトヨタの生産方式における自働化の特長となっています。

自働化を導入するメリット

自働化の導入には、以下のメリットがあります。

  • 品質向上
  • 生産効率化

品質向上

自働化の導入は、不良率の低減に大きく寄与します。

生産工程において設備が異常を自動的に検知し、即座に停止する仕組みを取り入れることで、不良の根本原因を迅速に特定し、対策を講じることが可能になります。

これにより、工程そのものを見直し、不良を発生させない生産体制を構築することができます。

結果として、製品の品質が向上し、高品質な製品を安定して生産できるようになります。

生産効率化

自働化は生産効率の向上にも大きく貢献します。

段取り作業の効率化や、設備の保守メンテナンスの自動化により、設備は長時間にわたって自律的に稼働することが可能です。

さらに、設備自身が自律的に監視・制御を行うため、常時作業者の介入を必要としません。これにより、夜間や無人の時間帯でも安定した生産が可能となり、生産性が大幅に向上します。

また、作業者は機械の監視から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるため、全体の生産効率が飛躍的に改善されます。

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自働化の本質は「稼働率」ではなく「可動率」の向上

自働化の本質は、単に稼働率を高めることではなく、可動率(べきどうりつ)を向上させることにあります。

稼働率とは、指定された期間(例:シフトや1日)内で、設備がモノづくりに使用(稼働)されていた時間の割合を示します。一方、可動率とは、設備がモノづくりに必要なときに正しく動く割合を示します。稼働率は必ずしも100%である必要はありませんが、可動率は100%を目指すべきです。

これは、高価な自動設備を導入することだけでなく、作業手順やプロセスを見直し、自工程での品質保証を重視する手法です。

まとめ

自働化(Jidouka)は、ジャストインタイムと並んでトヨタ生産方式の二本柱です。ムリ・ムラ・ムダを顕在化させ、改善(Kaizen)を推進することで、より良い品質、より低いコスト、より短いリードタイムの実現を目指します。

そのため、自動設備が無い企業でも、自工程での品質の作り込みや可動率向上などの改善手法はきっと役に立つはずです。

最後に、問題発生時に生産ラインを止め、根本原因を究明し改善し、解決を図るプロセスを長期的な視野で実現するためには、経営者を含むすべての関係者の理解が欠かせません。納期が差し迫った中であっても、生産ラインを止めて根本原因を究明することの重要さを、もう一度製造業は見直すべきです。

本記事の内容が、自働化導入の参考になれば幸いです。

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